出典:吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第179話
週刊少年ジャンプ2019年47号
おはこんばんにちは。
トンガリです。
元気です。
しかし第179話は鬼滅の刃というよりもキツめの刃といった内容で……。
感想が書けるのかどうか……。
もはや考察は不要な程の描写に感情的になるなというのが無理な話です。
まず表紙……。
―――強く焦がれ
強く焦がれ――――
これは黒死牟が地獄の業火で焼かれている演出か、
それとも“この世”という地獄で鬼となってからも灼かれ続けていた嫉妬の炎に灼かれる姿か……。
はたまたその両方か……。
爪が剥がれるほど掻きむしり骨まで灼き尽くす程の炎に、表紙から暗澹たる雰囲気に引きずり込まれました。
本編は黒死牟の描写は一切されず、鬼殺隊の剣士たちが描かれていました。
これでもう黒死牟は地獄に落ちていったのでしょうか。
ほんの少しは何か地獄までの描写があるのかなと思っていたのですが……。
この全く救済の無い最期は……いやそれでもだからこそ黒死牟、巌勝さんの最期としてはそれでいいのでしょうか……。
誰も気に留める者のいない最期……。
上弦の壱・黒死牟が再生しなくなったことに気付いた岩柱・悲鳴嶼行冥さんは、
風柱・不死川実弥さんに声をかけて制止します。
しかしそれでも攻撃を止めない実弥さん。
悲鳴嶼さんが後ろから抱き抱えてみると途端にガクリと体中から力が抜けた様子。
それどころかすでに意識を失っており、それでも尚動き続けていたようです。
消えて無くなるまで刻む、と豪語していた通りにそれこそ死ぬまで戦い抜く気概を見せてくれました。
柱として天晴れです。
唯一動く事ができる悲鳴嶼さんは全員の様子を確認します。
まず玄弥はまだ意識もあり悲鳴嶼さんに声をかけることができています。
悲鳴嶼さんはまだ息のある弟子にすぐに駆け寄り状態を見ます。
すぐに兄や霞柱・時透無一郎くんのことを気に掛ける玄弥……。
絶対そんな余裕のある状態じゃないのに……玄弥……。
やさしい……やさしすぎる……。
鬼を取り込んだ為にこの状態でもまだ生きている。
しかしその効力も出血と共に殆ど抜けている。
これが悲鳴嶼さんの下した判断です。
鬼の力が殆ど抜けているから稀血である実弥さんを傍に置いても恐らく問題はないと……。
恐らく、ということはそこは確信がないということだと思うのですが……。
それでも心配している兄の姿を傍に置いてあげるのはもう時間がないからですか……。
最期くらい、とそういうことですか…………。
この辺りから悲鳴嶼さんが先週までとは打って変わって常に涙を流し続けているからもうこっちまでダメなんです……。
玄弥の隣に実弥さんを寝かせてあげた悲鳴嶼さんは、
次に無一郎くんの元へ移動します。
無一郎くんに「お前たちのお陰で勝てた」「心から感謝と尊敬を……」と声を掛けます……。
「必ず無惨を倒して其方へ行く、安心して眠れ」と……無一郎くんの瞼をそっと下ろします……。
ここ悲鳴嶼さんも言葉に詰まってるんですもん……。
無理でした……。
無一郎くんの閉じられた目がぱっと開く描写に一瞬だけ思考停止した脳みそが「えっ!?」となりかけましたが、分かってます。
無限城にイチョウは舞いません。
兄・有一郎くんもいます。
生前から厳しかった有一郎くんは厳しい言葉を掛けます。
「こっちに来るな戻れ!」
「逃げれば良かったんだお前はまだ十四だぞ」
「こんな所で死んでどうするんだ?無駄死にだ」
「こんなんじゃ何の為にお前が生まれたのかわからないじゃないか」
二人のやりとりを見てて凄く有一郎くんっぽいなぁと思いました。
回想でちょっとしか出番なかったのにそれでもそんな風に感じるんだなぁと不思議でした。
あと身長が。
有一郎くんは死んで先にここに来た時点で成長が止まっているので無一郎くんの方が高くなってます。
「僕が何の為に生まれたかなんてそんなの自分でちゃんとわかってるよ」
「僕は幸せになる為に生まれてきたんだ」
これを…………巌勝さんに教えてあげたかった…………。
幼い頃に母を亡くし、父を亡くし、そして兄を亡くし記憶を無くし。
それでも幸せを忘れない。
家族四人で暮らしていた時のこと。
一人ぼっちになってからつらいことや苦しいことがたくさんあったこと。
それでも仲間ができたこと。
幸せだと思う瞬間が数え切れないほどあったと話している無一郎くんに言葉が出ません。
「何からも逃げなかったし目を逸らさなかったんだ」
「仲間の為に命をかけたこと後悔なんてしない」
本当にこの言葉の通りだと思います……。
記憶がなくて合理性の塊みたいだった時も、自分の使命を見失うことはなかったし出来ることをするために行動していました。
何からも逃げなかったし目を逸らさなかった……凄く大事なことだ……。
無一郎くんの想いに触れた有一郎くんも流石に謝ります。
しかし厳しい言葉はどれも無一郎くんを思う気持ちの現れだととっくに分かっています。
「わかってるよ、だけど俺は」
「無一郎に死なないで欲しかったんだ……」
「無一郎だけは……」
イチョウの花言葉調べたら「長寿」と「鎮魂」でした……。
そうですか……長寿…………。
イチョウが降りしきるこの場所で、二人の再会を一頻り悼んだら、また家族四人で笑顔になってほしいと切に願います…………。
悲鳴嶼さんが無一郎くんの頭を撫で別れを惜しんでいると、背後から叫び声が聞こえてきました。
「なんで鬼みたいに体が崩れるああああクソッ!!クソッ!!」
玄弥!!!!!!!!!!
なんで!!!?
頭が崩れてる!!!!!!
なんで!?!?
それでも、息も絶え絶えになりながらも兄・実弥さんに謝り続ける玄弥……。
「あの…時…兄ちゃんを…責めて…ごめん…」
「迷惑ばっかり…かけて…ごめん…」
「守って…くれて…あり…がとう…」
「兄ちゃん…が…俺を…守ろうと…してくれた…ように…」
「俺も……兄…ちゃん…を…守り…たかった…」
「同じ…気持ち…なん…だ…兄弟…だから…」
辛い思いをたくさんした兄には幸せになって欲しいと、黒死牟戦で玄弥を助けた時の実弥さんと全く同じことを話します。
兄弟だから同じ気持ち……。
兄弟…………。
ありがとう。
玄弥。
鬼化が進んでいるから大丈夫なのではないか。
頚を両断されていないから何とかなるのではないか。
ここ何週間も、色んな考察が飛び交っていましたね。
凄くたくさんの人が一生懸命に議論しているのを見て胸が熱くなったものです。
なんで鬼のように崩れていってしまったんだろう。
この最期を見て、玄弥の鬼喰いは本当に特殊な体質だったんだなと思いました。
安易に鬼化してしまうとかではなく喰べたものの特性を吸収していくような。
鬼滅の刃では特殊な存在は今の所“鬼”しか出ていないので鬼にしかなっていませんでしたが、
多種多様な存在が登場する作品であればそのどれも喰って吸収してしまっていたかもしれません。
それとも、度重なる鬼喰いによって、本来の人間である部分が段々と摩耗してしまっていたのかもしれません。
死ぬことで人の形を保てなくなった肉体が崩壊してしまった……とか……。
でも血まで……血まで消えてるんです……。
いなかったみたいに……消えてしまいました……。
実弥さんの「大丈夫だ何とかしてやる」「兄ちゃんがどうにかしてやる」という叫びが完全に一話の炭治郎で。
幸せになって欲しい。
全ての元凶を討ち滅ぼした後に。
幸せだった思い出と辛い思い出をたくさん抱えてずっと生きていて欲しい。
「…不死川、行かねばならぬ」
「無惨を倒すまで終わりではない」
めっっっっちゃくちゃ厳しい……。
岩。
まさに岩のような意志、覚悟。
これが鬼殺隊の柱の中でも最強の、岩柱です。
親も兄弟も共に暮らす子供たちも仲間もお館様も弟子も全て殺されました。
その元凶は紛れもなく鬼舞辻無惨です。
勝たなければなりません。
全てを終わらせるまで……立ち止まれない……。
分かってはいますが……。
この話を挟んだことによって大ダメージです……。
鬼殺隊の柱たちと同じ辛さ悲しみを背負って次の戦いへ向かうことができます。
鬼滅の刃は敵である鬼側の事情でも胸を締め付けるものがありますが、
やはり仲間側の極大の感情は心に響きますね…………。
玄弥……無一郎くん……。
必ず勝って報告したい…………。
実弥さんはこれ立ち上がれるでしょうか。
実弥さんの慟哭がもう辛くて辛くて……。
これほどまでに取り乱すのは、実弥さんの中で「弟の幸せな暮らし」というモチベーションがとても大きな割合を占めていたからであって……。
いやそれでも実弥さんだってこれまでに色んな歩みがあった訳ですから。
匡近さんやお館様、それ以外にもたくさんの仲間がいましたからね。
全然関係ありませんが、玄弥の消え方が「AKIRA」で見たような消え方だったのでAKIRAの世界観思い出してそっちでも物哀しい気持ちになりました。
今回はもう本当に寂寥感とか哀愁とか遣る瀬無さとかではない、最大級の「悲しさ」を味わいました……。
辛いし悲しい……。
無惨を倒せれば……倒せさえすれば命をかけて戦い散っていったものも報われる……。
そうであるはずなんだ……。
あと少し……あと少し……。
改めまして。
鬼滅の刃は本当に貫いていきますね。
死んでしまいました二人。
最終決戦です。
極限の戦いです。
命かけてます。
死ぬのが当たり前です。
でも少年漫画で、それもこんなに勢いのある作品で。
これって凄いことですよ。
凄いことだと思いますよ。
吾峠先生は売れても売れなくても自分の作品を描き切って下さっていると信じられます。
多少、戦闘や道すがらで引き伸ばしや追加した部分なんかはあるかもしれませんが、
本筋に影響があるような変化はせずに貫くところは貫いて、“鬼滅の刃”という作品の世界を描き切って下さっていると思います。
無一郎くんだって仲間の為に命をかけたこと後悔してないと言ってました。
確かにもう決戦前のみんなが集まれるような幸せの形は見られないかもしれません。
でも命をかけて戦ってくれた隊士たちのお陰でこの先のたくさんの幸せな未来が生まれていることも間違いありません。
信じる……トンガリはこの戦いで全てが終わってみんな幸せになってこれからもずっとずっと人間の営みは幸せな未来に向かって続いていくんだと信じてなんとか執筆するためのテンションを取り戻しました……!!
感想になってますかね。
なんであんなにイチョウが舞ってるの?そんな関連あったっけ?とか考えられませんでした。
苦し紛れに花言葉とか調べてみましたが長寿って……。
イチョウって葉っぱが左右で対称に分かれてたり、実が2つセットで対になってたりしますし双子を連想させるものみたいな季語?的な感じとかあるんでしょうか。
今日は調べられません。
玄弥は本当になんで崩壊したの。
悲しいです辛いです。
鬼化してる訳でもないのに、本当に悲しい。
鬼化してるなら再生してください!!!!!!!!!!
ボロボロになるまで戦ってました……血鬼術まで使って……。
でも勝ちました~。
犠牲は出ましたが、4人で上弦の壱を滅殺したのは快挙だと思います。
勝てますか?
もう一度やっていたらどうなるか分かりませんよ。
それでも勝機を手繰り寄せて手繰り寄せて……。
勝ちましたね!!!!
次回こそは炭治郎の手紙や蛇柱恋柱の鳴女戦や合流した同期組や
同期組
同期組……玄弥……。
つら……い……。
流石にこの話の後に恋柱のテンションは描けないと思うので次回鳴女戦は絶対に無いと予想します。
珠世さんと炭治郎の手紙。これですね。
ここ最近本当に重苦しい展開が続いてますが皆さん大丈夫なのでしょうか……。
他のネットやSNSなんかはどうなっているんだろう……。
トンガリは最新のものとか流行りものとかに疎いのですが……。
少年漫画としては結構ハードめな展開ですよね……最近ではそんなでもないのかな……。
トンガリは限り限りではありますがなんとか踏みとどまっています。
みんな覚悟して戦ってるので、よわよわなトンガリでもほんの少しは意地を見せたいです。
とかいいつつ今回はこの辺でドロンさせてください。
あまり盛り上げられなくて申し訳ないです。
次回はもう少しなんというか、熱い感じの流れがくるのではないでしょうか。
ではこれで……。
次回もよろしくお願いします。
キメツー!
「鬼滅の刃」各話まとめはこちら
https://manga-more.com/archives/2602
お疲れ様です。
これまでの物語中、圧倒的に悲痛な回でした。時透君と玄弥、それぞれのシーンで少し泣いてしまいました。
黒死牟戦が始まる前は、漫画のセオリーから穿った展開予想をしていました。
キャラクターの命を軽視してしまっていたな、と反省しています。
鬼殺隊の柱たちと同じ辛さ悲しみを背負って次の戦いへ向かうことができます
>
本当にこのお言葉通りです。これからは鬼殺隊全員に敬意を払って、その生き様を最後まで見守るつもりです。
(勿論、物語をメタ的な時点で見るのも1つの楽しみ方で悪いことでは無いですし、トンガリさんの様に作品をしっかり読み込み展開予想をするのは健全な楽しみ方ですけどね‼︎)
黒死牟戦は劇的だけど必然性のある展開になっているところが本当に見事でした。
弱者が戦局を覆す熱い展開ながらも、あくまで弱者だからこそ可能な突破口的なもの。
長年経験を積んできた者の強さを矮小化させない。
残った年長組2人には無惨戦でも同期組・年少組とはまた違った、安定感のある強さを見せてもらいたいです。
活躍する事で黒死牟戦で散っていった年少組2人に間接的に花を持たせてほしい。
そして、悲鳴嶼さんの「其方へ行く」という言葉。煉獄さんの死を知った時のお館様を思い出しました。当然のように死ぬつもりでいるのが辛い。
痣は25歳超えの悲鳴嶼さんを筆頭に、メインキャラほぼ全員に関わってくることですね。
冨樫先生が鬼滅単行本の帯コメントで、希望と絶望のバランスの良さについて書かれていました。
冨樫先生はキャラクター人気が高すぎると生死で作品人気に影響が出てしまう恐れがあり、ストーリーを自由に作れない、という少年漫画での表現の限界を感じていたようです。
また「るろうに剣心」の和月先生は登場人物を死なせなかった回では、甘い展開を批判する声もあったけどアンケートの結果も良かった、と語っています。
救いのある展開の方が、キャラクターに愛着を抱いている読者からのウケは良い。しかし、過度なご都合主義は緊張感を無くしてしまう。難しいところです。
鬼滅は痣関連の伏線は丁寧に貼られているので、救いのある展開、シビアな展開
どちらに舵を切っても納得のいくストーリーになるでしょう。
今は仲間の死を十分に悼む時間も残されていない、とても辛い状況ですが全てが終わった時、改めて散っていった仲間達の幸せな様子が描かれると信じています。
継国兄弟についても、これからの物語の鍵を握る存在ですし、縁壱目線での独白は近いうちに描かれる事でしょう。
前述の「救い」のある展開に関わってくる存在でもあるし、楽しみにしています。
最後になりましたが、
毎回丁寧な考察とコメント返信
本当に、本当にお疲れ様です。
トンガリさんが読者の大多数が感じているであろうことを丁寧に文章化して下さっていますし、「こういう見方もあるのか」という考察はコメント欄の皆様がされるでしょうし…
なるべく皆様が言及されていない箇所を拾うように心掛けます。