出典:吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第115話
週刊少年ジャンプ2018年30号
玄弥の記憶が語られる――…
前回のラストから引き続き、玄弥の回想から始まりました。
小柄で優しい母と図体がでかくろくでなしの父。
乱暴だった父は人に恨まれ刺されて死んだそうですが割と壮絶ですね……。
お母さんはとにかくよく働く人だったみたいなので、子への愛情も疑いようのないものだったことでしょう。
そして事はある晩に起こります。
お母さんの戻りが遅く、夜明けが近い時間だというのに兄弟(6人)みんなで起きて待っていました。
実弥は留守を玄弥に任せ、母を捜しに出ていっています。
まず不死川家が7人兄弟だったことに驚きましたし玄弥とその弟の一人が幼い時からモヒカンスタイルなのがかわいくて……。
玄弥が不安そうにしている兄弟たちを寝かしつけようとしていた時に扉を叩く音がしました。
当然、みんなお母さんが帰ってきたのだと思ったことでしょう。
急いで扉に駆け寄り、扉を開けた瞬間――。
予想はしていましたが……鬼滅はこんなエピソードばかりで辛いです……。
扉を壊しながら入ってきたモノは一瞬のうちに兄弟全員に傷を付け勢いのままに天井に張り付きました。
致命傷を避けていた玄弥でしたが動揺している上に明かりを破壊された暗闇の中では「獣か!?狼だ!」と侵入者の正体を掴むこともできず……。
とどめを刺しにきた侵入者に為す術なしかと思われましたが――。
侵入者を追ってきたのかタイミングよく帰ってきたのか、実弥兄ちゃんが侵入者に体当たりし、そのまま窓から屋外へ飛び出しました。
すぐに玄弥は兄弟5人の様子を見ます。
「就也、弘、こと、貞子、寿美」と名前を呼び励ましながら止血をすると、医者を呼ぼうと家を飛び出しました。
飛び出した先で見たものは、血まみれで倒れる母と、血まみれで立ち尽くす兄の姿。
その状況はまるで兄が母を殺したかのような光景です。
事実、そうでした。
お母さんは足や顔が陽の光で崩れ始めています。
おそらく鬼に変えられ、家族を襲ってしまったのでしょう。
しかしそうとは知らない玄弥は兄を「人殺し!!」と罵倒してしまいます。
「全部言い訳にしかならないけど、混乱していたんだ」
と己の言動を振り返ります。
「兄弟が皆冷たくなって返事をしなくて、もう死ぬというのがわかってしまって」と現実を受け入れられていなかった自分の弱さを嘆きます。
兄弟たちを守るために戦って、夜が明け始めた外に落ち、初めて家族を襲ったのが母ちゃんだと気づいた時。
最愛の母を手にかけて打ちのめされていた時に、必死で守った弟から罵倒された時。
兄ちゃんはどんな気持ちだっただろうか。
「玄弥」
「家族は俺たち二人で守ろう。親父は刺されて死んじまった」
「あんなのは別にいない方が清々するけど、父親がいねぇとなると皆心細いだろうから」
「これからは俺とお前でお袋と弟たちを守るんだ」
「いいな?」
「これからは、じゃなくてこれからも」
「だよな」
一緒に家族を守ろうと約束した矢先に起こった惨劇……。
兄に特別扱いされたことが嬉しかったのか、鼻息を荒くして生意気なことを言ってしまう次男坊。
そんな弟に向ける実弥兄ちゃんの笑顔が……。
兄弟の描写に定評のある鬼滅の刃ですが、今回も不死川兄弟の繊細な心理描写が秀逸です。
それと実弥兄ちゃん、すでに夜明けが近かったということもありますが、ただの鉈だけで鬼としばらく戦っていたんですよね。
家族を守るという強い気持ちだけで必死に戦ったのでしょう。
幼い子供とは言え、一瞬で6人を傷付けるような鬼です。身体能力は人間の比ではありません。
実弥兄ちゃんだってまだ十分幼い子どもっぽいのに……。
この時点でトンガリ内の風柱評価は天井知らずです……。
思えば竈門家から始まってこういった悲劇はいたたまれません……。
竈門家だって炭治郎の元に義勇さんが来てくれていなければどうなっていたか分かりません。
不死川実弥は、何の訓練もしていないにも関わらず、たった一人とはいえ、鬼の手から弟を守ったのです。
それに、母に兄弟を皆殺しにされたとあっては、兄妹と言えど鬼になったものを同行させている隊士を認めることはできませんよね。
実弥さんの長男力を考えると、むしろ炭治郎のためを思ってムカつくほどの悪役に徹していたのかもしれません。
許せないという強く純粋な「怒り」は、手足を動かすための揺るぎない原動力になることを知っているはずですから。(参照)
そして回想が玄弥の走馬灯にリンクして現実に引き戻されるこの演出。
都合のいい走馬灯を見て、って表現が物悲しい……。
独白の中で玄弥は呼吸が使えないという新事実が。
今までもずっと呼吸を使っていなかったので岩柱と一緒にいたから岩の呼吸なのか、不死川家繋がりで風の呼吸なのかと考えていましたが、まさかの呼吸無し。
千寿郎くんと同じで刀の色も変わらなかったのでしょうか?
半鬼化しているから呼吸が使えないのか、それとも呼吸が使えないから半鬼化の力を求めたのか。
後者であれば、半鬼化の力を与えたのは岩柱の悲鳴嶼行冥さんでしょうか……。
というか呼吸使えないのに最終選別を突破できたの凄くないですか?
生身じゃかなり厳しいですよね……?
ということはすでに再生能力を持っていた?
ふーむ。
あと柱にならなきゃ柱に会えないのに、とこぼしていますが炭治郎一行は胡蝶しのぶさんにアポとってもらって炎柱の煉獄さんに会ってるし、玄弥だって蝶屋敷でしのぶさんに会ってるだろうし、悲鳴嶼行冥さんと一緒にいたし、温泉でも甘露寺蜜璃さんと鉢合わせていますよね……。
頑張ったけど無理だったよ、じゃなくて頑張って兄ちゃんに会いに行け!!!!
ちょっと茶化してしまいましたが、自分の才能の無さに涙する玄弥は、何とか幸せになって欲しいと思います……。(今現在すでに死ぬ直前の走馬灯見てますけど……)
この実弥さんのセリフはイメージなのか実際に言われたのかは分かりませんが、長男の言うことなので、どうせ「お前は鬼殺隊なんかで危険に身をさらす必要なんかない」ってニュアンスの相手を思いやっているからこそのセリフなんですよ。
「俺の弟じゃねぇよ」って言うのも「惨い出来事のあった家族のことは忘れて、幸せを見つけて欲しい」って感じでしょうかね。
勝手に脳内補完でもうすでに実弥さんの評価がヤバイのですがこれって嫌なフラグじゃないですよね。
何だか不死川兄弟はこのまま再会することなく……って展開になりそうで怖いです。怖いです。
頑張って再会してちゃんと謝ってそんなこと気にしてないって和解してもう一回笑ってるところ見せろください。
諦めて死を覚悟していた玄弥を救ったのは炭治郎!!
積怒の腕を斬り落とし、同時に舌も斬っています!
「もう一度頸を斬るんだ!」
「絶対諦めるな! 次は斬れる!」
「柱になるんじゃないのか! 不死川玄弥!」
炭治郎のストレートな激励に胸が熱くなりました。
さすが日の呼吸の使い手。
玄弥の事情も知らないのになんでこんなに玄弥のことを信じて応援できるんだろう……。
炭治郎は本当に強くて優しい。
最近炭治郎の戦闘力が想像以上に高くなっていてう~んと思うことも少しだけありましたが、こういう心の強さ、暖かさこそが炭治郎の最大の魅力ですよね。
そこがブレていないのでやっぱり炭治郎大好きです。
しかし炭治郎の背後に槍を構えた鬼の姿が迫ります。
回避もできず、「もろに喰らった!」と考えてしまう炭治郎でしたが、無傷。
なんと、炭治郎の背後に迫る哀絶に気付いていた玄弥が体を張って庇っていたからです。
しかしその身体にはかなりの深手が……。
抉られ方がキツイ……。
「俺じゃ斬れない お前が斬れ」
「今回だけはお前に譲る」
と炭治郎に半天狗を任せます。
さすがにこの傷は異常な再生能力の玄弥でも……。
と思いましたが次のページでは銃を撃つくらいには動けています。
なんて出鱈目な回復能力。
想いを託された炭治郎は(積怒の雷を躱しながら)すぐに半天狗を見つけて斬りかかります!!
これは爆血刀なのかな?
ヒノカミ神楽のエフェクトか遠隔操作の爆血刀で半天狗の頸を斬りつけ、少し頸に刃が入ったところで半天狗が叫喚し次回へ!!
さあ!
とうとう半天狗の頸に刃が届きました!!
しかし!!
今回の話を読んで確信したことは……。
半天狗はここから更に超絶パワーアップして合流した柱含めて圧倒するような絶望感を見せつけてくれるということです!!!!
理由は玄弥の呼吸の件です。
今まで呼吸使ってないな~とは思っていましたが、多分省略されてるんだろうなと思ってたんですよ。
でも無一郎くんの戦いとか見てても呼吸とか型の名前って凄くセンス良いしとても大事なものですよね。
今回の呼吸が使えないという説明が入ったことで、省略されるなんて甘いものじゃないと確信しました。
と、言うことはですよ。
鬼にとっての技といえば。
そう! 血鬼術です!!
半天狗は未だに血鬼術を使っていないじゃないですか。
「積怒の雷とか哀絶の激涙刺突とかが血鬼術なんじゃないの」とお考えのあなた。
それは先週までのトンガリと同じ考えですよ!
玄弥の再生が岩の呼吸なんじゃないのと考えていたら違いましたし、ちゃんとした技ならそのように血鬼術と説明されるはずです!(多分)
要するに今の半天狗はまだ血鬼術無しの通常攻撃だけで普通に戦っているだけの状態なはずです!!
となると、トリガーは分かりませんが、何らかの方法で全天狗、満天狗、完天狗になるはずなんです!!!!
そしたらもうすごいですよ。
雷だって自由な形で指向性を持って放ち、風を吹かせるどころか空気を自在に操り、音波攻撃は地面や壁に反響することでどんどん威力が増し、槍捌きは、えーと、槍がめちゃくちゃ大きくなったりします!!!
まぁ煽り文も「勝利の兆し…!?」となってますしこんなの「このまますんなり倒せません」って言ってるようなものですよね。
さて回想を使っても玄弥の再生能力については説明されませんでした。
可能性を挙げていきましょう。
- 崩れゆく母親を抱き締めた時に傷口に鬼の血が入って半鬼化した。(血縁に限り血液が混ざることで鬼化するという新説)
- 不死川家の体質。(半鬼化はさらにその体質を突き詰めた結果鬼に近付いてしまったとか)
- 悲鳴嶼行冥の得体の知れない秘術。
- 鬼を喰ってたら半鬼化した。(すでに無惨様に把握されてて玄弥が刀鍛冶の里襲撃の原因)
こんなとこでしょうか。
ふーむ。
悲鳴嶼行冥さんの秘術だとしたら最終選別は生身で突破したことに……。
4案でも生身で鬼を倒すのは茨の道……。
かと言って1案も2案も説得力が……。
もう少し情報が欲しいところですね。
玄弥が「お袋が寝てる所を見たことがなかった」っていうのはもしかしてもしかすると伏線なのでしょうか。
あと実弥さんのまつげが長いのが無性に気になります。
もしかして実弥さんだけお母さんが違う?
乱暴だった父の連れ子だったり?
だから俺に弟はいないって言ってるとか……いやそれでも腹違いの弟か。
ただ実弥さんだけちょっと耽美的な顔立ちだったのかな。
でも爽やかヘアーとモヒカンって格差が……。
書きたい事がたくさんあった気がするのですがキリがないので一旦ここで……。
最近炭治郎と玄弥パートだけなので無一郎くんの安否が気になりますー!
でも流石に来週は半天狗の良いとこ(やなとこか?)見せてほしいです!!
さぁ、半天狗は完全体となり妓夫太郎のように
人気キャラ… キメツ学園出演候補へと上がって来れるかな?