堕姫と妓夫太郎。
遊郭編に登場した十二鬼月・上弦の陸を与えられた鬼の兄妹。
残忍で冷酷で、お世辞にも性格が良いとは言えない。
しかし、歪ながらも強い絆を持つ兄妹。
連載中の感想記事でも書きましたが、トンガリはこの兄妹が結構好きでした。
なので何故好きになったのか、簡単なキャラ紹介を交えつつまとめていきたいと思います。
「傲慢」「陰険」「残酷」上弦に相応しい悪鬼
「この兄妹結構好きだった」と書いたばかりですが、この兄妹は圧倒的に悪です。
最後には主人公たちに倒される敵役であったからこそ好きでしたが、本来は許せるはずもない悪党です。
まずはそんなろくでもない部分から紹介していきます。
堕姫
「美しく強い鬼は何をしてもいいのよ…!」
美しい容姿と、すぐに癇癪を起こす歪みに歪んだ極悪な性格を併せ持つ鬼。
普段は人間社会に入り込み花魁として過ごしているが、気に入らない人間がいると死ぬまで追い込む。
名前を変えながら妖艶な美貌で百年以上色街に潜み、人間を喰い続け力を蓄えてきた。
その過程で喰った鬼殺隊の柱は7人。
美しいものを好み、食べる人間も選り好みし、美しい人間だけを食べていた。
分離していた帯を取り込むと銀髪に変化。(人間時代の髪色?)
自身が追い込まれたり処理しきれない事態になると、幼児退行を起こし泣き喚く。
そして真の上弦の陸が現れる。
妓夫太郎
「取り立てるぜ俺はなぁ」
「やられた分は必ず取り立てる」
普段は堕姫の身体の中で眠っており(多分)、堕姫の手に負えない相手が現れた時に目覚め、堕姫の身体から生えるように現れる。
痩せ細った体に皮膚病にかかったような痣、ギザギザの歯に陰気な表情と、堕姫とは違い醜い容姿を持つ。
性格は陰湿で嫉妬深く、自身がされたことは自分よりも幸せそうな人間にやり返す(本人にとっては取り立てているという認識)という八つ当たりじみた哲学を持つ。
惨めでみっともなくて汚いものが好き。
女房が三人いるという音柱・宇髄天元の言葉を聞き、激しく嫉妬していた。
人間時代から腕っぷしが強く戦闘センスはずば抜けており、柱を15人喰っている。
共通して悪逆非道な性格を持つ兄妹ですが、二人の仲は悪くありません。
妹・堕姫は事あるごとに「何とかしてよお兄ちゃあん!」と兄を頼りわがまま放題。
兄・妓夫太郎も「おめぇは本当に頭が足りねぇなあ」と言いながらも妹を守り、暴虐の限りを尽くします。
一見、わがままな妹が兄に依存し、兄もまた妹を守るという口実で凶悪な殺戮を繰り返しているだけのようにも感じられます。
しかしこの兄妹には、利害関係という言葉だけでは説明できない兄妹の絆があるのです。
(と、トンガリは考えています。)
この兄妹の魅力はまさにそこにあり、是非知ってもらいたいと思いますので、さらにまとめていきたいと思います。
凄惨にして壮絶な生い立ち
虫けらボンクラのろまの腑抜け役立たず――。
生まれは遊郭の最下層「羅生門河岸」。
生きているだけで飯代がかかる子供は迷惑千万。
生まれてくる前から何度も殺されそうになり、生まれてからも何度も殺されそうになり……。
それでも妓夫太郎は、弱い体で必死に生き延びていました。
実の親からは殺されかけ、誰からも何も与えられない。
まともなものも食べられず、唯一の遊び道具である鎌と戯れる日々。
そんな境遇で育った妓夫太郎の人生に、初めて変化をもたらした存在こそが妹の梅(堕姫)でした。
母が死ぬ原因となった病気(梅毒)から名付けられた“梅”という名前もまた酷いものですが、それでも梅の存在は妓夫太郎の人生に変化を与えました。
妓夫太郎にとって、梅は生まれた時からかけがえのない大切な存在だったのだと思います。
妓夫太郎は自分が喧嘩に強いことに気付き、取り立ての仕事を始めます。
年端もいかない頃から大人がたじろぐほど綺麗な顔をしていた自慢の妹の存在が、妓夫太郎の劣等感を吹き飛ばしていました。
順風満帆。
ここから人生が良い方へ加速していくかと思いきや……。
梅が、客である侍の目玉を簪で突き、報復として生きたまま焼かれました。
仕事で離れていた妓夫太郎にはどうすることもできませんでした。
丸焦げになってもひと目で妹だと分かったのは妓夫太郎の愛あってこそだったと思います。
丸焦げの梅を抱きしめながら絶望と怒りで慟哭しているところに梅を焼いた侍が現れ、妓夫太郎を斬りつけます。
遊郭の人間にも金で売られたことを知り、妓夫太郎は恨み節を口にしながら、手負いの体でその場にいた人間を皆殺しにしました。
「お前いい着物だなあ 清潔で肌艶もいい たらふく飯を食って綺麗な布団で寝てんだなあ」
「生まれた時からそうなんだろう雨風凌げる家で暮らしていいなあいいいなああああ!」
「そんな奴が目玉一個失くしたぐらいでギャアギャアピーピーと……」
「騒ぐんじゃねえ」
“禍福は糾える縄の如し”だろ、良いことも悪いこともかわるがわる来いよ、と死にかけた妓夫太郎が頭の中でぼやいていると、人間を喰いながら男が歩いてきました。
当時の上弦の陸である男は妓夫太郎を鬼へと勧誘し、そして妓夫太郎と梅は鬼になります。
「鬼になったことに後悔はねぇ」
「何度生まれ変わっても、必ず鬼になる」
妓夫太郎は生まれながらにして、人間社会で生きていくような存在ではなかったのかもしれません。
こうして妓夫太郎と堕姫の、鬼としての物語が始まりました。
https://manga-more.com/archives/608
「ただ もし唯一 心残りがあるとするならば」
生まれながらに鬼としての才能があった妓夫太郎。
しかし、梅は違ったんじゃないか、という想いがありました。
もっといい店にいたなら真っ当な花魁に。
普通の親元に生まれていたなら普通の娘に。
良家に生まれていたなら上品な娘に。
もともと素直で染まりやすい性格だった梅。
妓夫太郎が育てたから侍の目玉を突いたが、そうでなければ違う道があったかもしれない。
それだけが妓夫太郎にとっての心残りでした。
お互いがお互いを想い合う完璧な兄妹
炭治郎一行に頸を斬り落とされ、完全に体が崩れた後、妓夫太郎と堕姫は不思議な空間にいました。
その空間でも鬼の姿のままの妓夫太郎、人間の姿で現れた梅。
おそらく、妓夫太郎はこう考えたのではないでしょうか。
生まれながらに鬼となるべきだったのは自分だけで、梅はそうではなかった、と。
小さい頃からなんでも妓夫太郎にまかせてきた梅には自分が今どこにいるのかも分かっておらず、素直に妓夫太郎について行こうとします。
せめてこれ以上、梅を自分のために鬼の道に付き合わせる訳にいかないと、わざと怒ったフリをして梅を突き放します。
梅は不思議な空間に来る直前に口論していたことを怒っているのだと勘違いし、必死で謝り何とか仲直りしようと頑張ります。
ボロボロと涙をこぼしながら一生懸命に謝ります。
そんな素直で可愛い妹を想えばこそ、また優しくする訳にはいきません。
「俺はこっちに行くから、お前は反対の方 明るい方へ行け」
暗い方が地獄で、明るい方が地獄よりはマシな何処かなのかは分かりません。
それでも、これ以上暗いところへ進む道を一緒に歩ませたくない、と更に突き放します。
いつもなら失敗しても間違っても許してくれるのに。
何故だかいつもと違う態度の兄。
とうとう怒った梅が妓夫太郎の背中に飛びつきます。
「離れない! 絶対離れないから ずっと一緒にいるんだから!」
「何回生まれ変わってもアタシはお兄ちゃんの妹になる絶対に!」
「わぁぁあんずっと一緒にいるんだもん!」
「約束したの覚えてないの!? 忘れちゃったのォ!!」
もう怒って心にも無いことを言ったりはせず、素直な気持ちをぶつけます。
小さい頃にした、「ずっと一緒にいる」という約束を忘れてしまったのか、と叫びます。
妓夫太郎は何度生まれ変わっても鬼になる。
梅もまた、何回生まれ変わっても妓夫太郎の妹になり、兄と一緒にいるために鬼となる。
トンガリは、妓夫太郎の「梅には別の道があったのではないか」という考えは間違いだったと思っています。
梅の「染まりやすい素直な性格」は、幼い頃からずっと自分を守ってくれていた兄だけに見せる姿だったのではないかと。
それに、梅が大好きだった兄と離れて暮らすことを選ぶとは考えづらいです。
兄と離れて真っ当に暮らすよりも、どれだけ険しくとも兄とずっと一緒にいることこそが一番大切な願いだったんだと思います。
「俺たちは二人なら最強だ」
「寒いのも腹ペコなのも全然へっちゃら」
「約束する ずっと一緒だ 絶対離れない」
「ほらもう何も怖くないだろ?」
幼き日の、泣いている梅をあやすように約束した言葉を思い出しながら、しがみついている梅をそのままおぶりました。
そして、妓夫太郎は人間だった時の姿になり、兄妹は二人一緒に地獄の業火の中へと消えて行きました……。
自分に存在意義を与えてくれた美しい自慢の妹。
自分をずっとずっと守り続けてくれた強くて優しい兄。
どちらにとっても、お互いの存在が無くてはならない二人だったのではないでしょうか。
この場面で凄く好きなのが、ずっと気を張って梅を突き放していた妓夫太郎の眉が垂れるシーンです。
背中で泣き叫ぶ梅の言葉を聞いて、表情からは陰険さや卑屈さが消え、人間に戻っていくところが何とも言えない哀愁を漂わせています……。
結局、兄には美しい妹の存在が、妹には強い兄の存在が必要で、何も間違ってはいなかったんだと感じます。
二人で一つ。
切り離して考えられることのできない完璧な兄妹だったのではないかと思います。
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兄妹ゆえの絆の力
堕姫と妓夫太郎には特殊な能力があります。
堕姫と妓夫太郎は通常の鬼とは違い、二人が同時に頸を斬り落とされた状態にならないと死にません。
片方の頸が斬り落とされても体が崩れていかず、頸をくっつければ復活します。
血鬼術やこういった特殊な仕様がどうやって作られるのかは分かりませんが、こんな便利な能力であればデフォルトで設定しておきたいってくらい厄介な能力です。
おそらくこの能力は、兄妹の絆が本物だったからこそ、二人で一つの鬼という能力として備わったものなのではないかと思います。
単行本2巻に登場した沼鬼も複数人に分裂していましたが、一体一体が独立しており、頸を斬られたらその場で滅んでいました。
その内、生前に多重人格だったとかで、複数の実態を持つ鬼が現れたりするかもしれませんが、双子でもない兄妹で一心同体扱いされるのは堕姫と妓夫太郎だけだろうと思います。(そんな似たような設定何度も使えないと思いますし!)
妓夫太郎が暗闇で待機している状態で、堕姫だけ陽の光を浴びたらどうなっていたのでしょうか……。
逆に、兄妹の絆があるからこそ負けたという側面もあります。
まず第一に、堕姫はあまり戦闘力が高くなく、鬼殺隊の中でも強い柱であれば十分に倒せる相手です。
そのため、あまり役に立たず足を引っ張ることがあります。
鬼舞辻無惨にも「初めから妓夫太郎が戦っていれば勝っていた」と言われてしまっています……。
例えるならば、ちゃんとした監督がいなかった翔陽高校の藤真健司のようなものです。(妓夫太郎が初めからプレイヤーとして専念することができていたら……)
そして二つ目に、妹がやられた分は必ず取り立てるという性格。
勝てばいいだけなら、「毒を喰らわせた後まで戦い続けなければ……」と無惨が言うように、全員に毒を喰らわせて引いていれば勝っていたでしょう。
音柱・宇髄天元さんにはもう毒が入っていたのだから、後は妓夫太郎が直接下っ端三人仕留めていれば割とあっさり全滅していたかもしれません。
禰豆子の炎による解毒でどうなるかは分かりませんが、天元さんと伊之助以外は毒ですぐに死んでいたと思います。
しかしやられた分は必ず取り立てるという兄妹なので、戦闘中に撤退するという考えはなかったでしょう……。
戦闘不能にした相手をなぶり殺して喰うまでがこの兄妹の戦いだったのだと思います。
無惨曰く、「人間の部分を多く残していた者から負けていく」。
死んだ後、人間だった時の姿に戻れるような鬼では鬼殺隊の真の強者には勝てないのかもしれません。
まとめ
なんか鬼兄妹視点でまとめて見ると可哀想になってきますね。
でもこの兄妹はとにかくたくさん人を喰って来てますからねぇ……。
やっぱり情状酌量の余地は無いと思います。
でも鬼と人間では価値基準が違いますし、上弦までのし上がったのは純粋にすごいですよね。
堕姫にはまだ上の数字を狙う意欲があったみたいだし……。
妓夫太郎たちが上弦になった時の入れ替わりの血戦が見てみたかったです。
妓夫太郎と堕姫の私生活なんかも見てみたかった。
花魁として遊郭に潜みながら人を食い続けるのはどちらが考えたとか、堕姫一人で柱を倒せた時はお祝いしてたりとか。
なんか可愛いエピソード結構あると思うんですよね。
でもそんなの乗っけたら悪役としてはよくないか……。
いつかキメツ学園に登場してくれることを願っています。
(追記・登場しましたね! 謝花兄妹!! 目出度い!!)
あと堕姫の頸を傾けて下から睨めつける独特の癖なんですが。
これ多分ですが、妓夫太郎の真似だと思うんですよね。
妓夫太郎はほぼ常に下から睨めつけるような視線でしたし。
お兄ちゃんの真似してると思うと、可愛くないですか?
まぁ堕姫のこの癖は遊郭編終盤にはあまり見られませんでしたが……。
なんか細かいところで仲の良さがにじみ出ていて、本当に憎みきれないろくでなし二人でした。
本編への再登場は叶わないと思いますが……。
どこかでまた新鮮な梅と妓夫太郎を見たいなぁと思います。
全然まとめになってなくてただのエピソード紹介みたいになってしまいました……。
まとめるのは難しい……。
でもなんか好きな二人だったのでどうしても何か記事を作って上げたかったんです~~。
ブログ経験値を積んで良い感じの紹介記事を書けるようになりたい……。
堕姫と妓夫太郎を好き、またはこういうところだけは好きだった、という方ってどれくらいいるのでしょうか。
もしかして管理人はかなりの少数派なのかな?とも思いますが、もし堕姫&妓夫太郎好きな方がいらっしゃるのならコメントとかメールで好きな所を教えてもらえたら嬉しいです。
遊郭編好きでした。
鬼滅の刃、好きなキャラクターがたくさんで大好きです!
これからも鬼滅の刃を応援していきます! トンガリは鬼滅の刃を応援してるよ~!(恋の呼吸)
ではまた次回の鬼滅の刃感想記事でお会いしましょー!
とてもわかりやすかったです!ありがとうございました!