出典:吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第176話
週刊少年ジャンプ2019年44号
おはこんばんにちは!!
トンガリです。
サブタイトルの『侍』。
今まで散々刀を持った剣士が戦う姿を見てきましたが、侍という言葉は出てきませんでしたね。
侍とは刀を持って戦う者というだけではなく、磨き抜かれた心の強さと立ち居振る舞い、そして武士道を持った剣士というイメージがあります。
はい……。(こみ上げてる)
では本編見ていきます!!
縁壱さんが笑うところを見ている時、いつも気味が悪いと思っていた黒死牟の回想からスタートです。
しれっとひどい話です。
「それぞれの呼吸の後継がいないという話をしていた時もお前は」
「突如奇妙な楽観視をし始めて、笑った」
「特別なのは自分達の世代だけなのだと慢心していた私は気味の悪さと苛立ちで吐き気がした」
「何が面白いと言うのだ」
いや人間時代の黒死牟結構酷くないですか!?
すでに“弟は特別な存在”というフィルターがかかってたとは言えこの毒舌……。
この時代に先を見通すようなことを話す縁壱さんはかなりの変わり者に見えたのでしょうか。
突如奇妙な~って感じの受け取り方が時代を感じさせます。
そして「それぞれの呼吸」と言っているので黒死牟は人だった頃より“月の呼吸”を使っていた可能性が上がりました。
ということは、刀を振らずに斬撃を繰り出していた伍ノ型・月魄災禍なんかは元を辿れば鍔迫り合いから有利に展開するための技だったのかもしれませんね。
やっぱり日の呼吸の剣士はたった一人だったんでしょうか。
どうやって習得したんだろう。
誰が日の呼吸って名前付けたんだろう。
始まりの呼吸……やっぱり番外編やるしかない。
黒死牟は今まさに弟が想像した「私たちの才覚を凌ぐ者」たちに攻め立てられています。
「胴を両断されても刀から手を離さず」
「人間が血鬼術を使い」
「斬られても斬られても失血死せず」
「鬼に匹敵する成長速度で限界を超える動きをし続け」
「日の呼吸の使い手ではない者たちが刃を赤く染める」
風柱・不死川実弥さんは斬られても斬られても失血死せず、なんだ……。
稀血だからかな……。
もしかして稀血が鬼にとって特上のご馳走なのは、物凄く色んなエネルギーが凝縮された血液だからとかあるかもしれませんね。
だから普通の血液の人間ならとっくに失血死しているくらい体内の血液が減っていても、高濃度血液である稀血のお陰で少量でも生きていられるとか……。
なんか濃度が高いふうに書くとドロドロの血液っぽくて血管詰まってしまいそう。
あくまでも良い感じの血液に含まれるエネルギー的な概念が濃いというイメージです。
あと岩柱・悲鳴嶼行冥さんの評価が意味深です。
鬼に匹敵する成長速度。
あまりにも強すぎる悲鳴嶼さんも突然変異じゃなくて何か特殊な遺伝を持ってたりするのでは……。
『鬼舞辻無惨編』の後の『鬼の起源編』で改めて脚光を浴びそうですね!
頚を斬られようと死ななければ敗北ではないと考える黒死牟は強い意志の力で頚の切断からの死を克服しました。(あっさり)
頚からの出血を止めた様子を見てすぐに追撃という判断を下す悲鳴嶼さん。
そして「時透と玄弥の命を決して無駄にするな!!」という檄に涙の咆哮で応える実弥さん。
「上等だゴラアアア!!」
「消えて無くなるまで刻んでやらアアア!!」
風の呼吸 捌ノ型 初烈風斬り
岩の呼吸 伍ノ型 瓦輪刑部
これ……あの不死川実弥が泣きながら戦ってるんですよ……。
あの不死川実弥が…………。
逆に、あの悲鳴嶼行冥さんは全く涙を流していない。
この戦闘が如何に極限状態のものであるかよく分かります。
そしてこのシーンの惨たらしさときたら……。
無一郎くん……。
どうしてここまでのことになるのか……。
無一郎くんの“無”は“無情”の“無”……。
無一郎くんの腕を斬り落としてまで何とか刀を抜き取り、玄弥の木を千切ろうと試みる黒死牟は、足掻きながら頭部の再生に成功します。
反応からすると初めて頚を落とされたであろうはずなのにこんなにもあっさりと再生されると堪えますね。
まぁここだけ見るとあっさりに感じても、何百年にも及ぶ「勝ち続ける」という選択を胸に戦い続けた日々があるのは分かりますが……。
真に恐ろしきは黒死牟の執念……。
そしてとうとう柱二人の攻撃を回避するまでに再生。
その風貌は嘗ての黒死牟のものではなく、とても悍ましい姿へと変わり果てていました。
体の至るところから生えていた刀は甲殻類の足のように変化し、焦点のあっていない眼球の動きがリミッターの外れた黒死牟の危うさをより一層際立たせています……。
猗窩座は頚の切断からの死を克服しかけていた時、この様な変貌はありませんでした……。
黒死牟の歪み捻じ曲がり切ってしまった心の在り方が表層に現れてしまったのか……。
なんとも醜悪で不気味で、どこか哀しい姿です……。
頚を落とされた直後で体が脆いはず、無惨ほどの速さでは再生していない、という悲鳴嶼さんの凄まじい判断の速さでさらに猛追します。
頚の弱点を克服し、太陽の光以外の攻撃は無意味となった黒死牟でしたが、
その眼力は、実弥さんの刀に反射した自身の姿を捉えます。
「何だこの」
「醜い姿は……」
愕然とする黒死牟の脳裏によみがえるものは、幼き日の弟との記憶。
「兄上の夢はこの国で一番強い侍になることですか?」
「俺も兄上のようになりたいです」
「俺は」
「この国で二番目に強い侍になります」
あーあ、泣いちゃったよトンガリ。
今の己の姿が“侍”というものからかけ離れていることに気付いた黒死牟の体は自壊を選択します。
無一郎くんに刺された傷口から崩壊が始まりました。
無一郎くんの赤く染まった刃による衝撃が最も才覚の片鱗を感じたからでしょうか……。
崩壊の始まった体、自身の本当の望みが頭にチラつく黒死牟は微動だにすること無く攻撃を受け続けます。
技を出そうとも技が出ず、再生できるはずと念じても再生できず。
さらには年老いた縁壱の言葉を思い出し。
「頚を落とされ体を刻まれ潰され」
「負けを認めぬ醜さ」
「生き恥」
「死にたくなかったのか?」
「こんな惨めな生き物に成り下がってまで」
「違う私は」
「私はただ」
お前になりたかったのだ……。
お前に……なりたかったのだ……。
ただ……縁壱さんのようになりたい……。
言葉が出ません……。
まずは共感しました。
黒死牟の心情を辿るような演出で本当の願いに辿り着いた黒死牟の心情に共感してしまい込み上げてくるものがありました。
でもその後すぐに、激しい怒りが湧き上がりました……。
無一郎くんはバラバラにされ、玄弥は縦割りにされ……実弥さんは涙しながら攻撃し続けています。
悲鳴嶼さんは誰よりも強いからこそ誰よりもたくさんの想いを背負って戦っていると思います。
それがこんな……拗らせてしまった個人的な感情ひとつでここまでのものに……。
ただ強かったというだけでここまでのことになってはいますが、
人の世、人の心に潜む影というものは、得てしてこういうものなのかもしれません……。
いわんや、その影を作り出した光が圧倒的なものであるのなら推して知るべしでしょうか……。
不幸の始まりは、始まりの呼吸の剣士が双子だったことか、弟だったことか……。
悲しみのトンガリ。
しかし今度こそこれで黒死牟戦は決着です。
黒死牟は崩れ散ってしまったので情報提供等は望めませんが、
残るは今の所発覚している部分では上弦の肆・鳴女と、諸悪の根源・鬼舞辻無惨のみとなりました。
黒死牟戦終わりましたー!
鬼殺隊の勝利です!!!
しかし全ては最終目標である鬼舞辻無惨の滅殺のため!!
生き残った悲鳴嶼さんも実弥さんも次の戦いが待っています!!!!
でも辛いぞーーーー!!!!
目的のために自らの命を燃やし尽くすかのように戦い抜く姿。
仲間の命よりも優先して果たさなければならない使命。
鬼殺隊の若い剣士たちの命を懸けた戦いに見られたのは、まさに侍の姿だったのではないでしょうか。
黒死牟も、信ずべき追い求めた“侍”の姿をどこか重ねてしまったからこそ、
夢見たその姿からかけ離れた現在の自分の状況を振り返った時、敗北というものを受け入れてしまったのではないかと思います。
黒死牟となった後もですが、人間時代の巌勝さんもあんまり気持ちの良い人物ではなさそうですね……。
そりゃ鬼狩りをしてたくさんの人の命を救っているとは思いますが、
縁壱さんへの想いを見ていると、最終的に自分主義に考えて悪鬼に堕ちてしまったのも仕方のないことだったのかな……。
そう言えば話は全然関係ないことですが、刀に映った黒死牟の姿、ビジュアル的に左右逆じゃないかなと思いました。
反射すると左右反対になりますよね?
ん?
わからん。
今回の話だけで、少年期、青年期、高年期の縁壱さんを拝むことができましたね!
少年時代の縁壱さんがとびっきり可愛くて……。
同じ顔なのに少しキリッとした巌勝さんが強気な表情で笑っているところを想像してより一層哀しくなりました。
もしかしたら継国巌勝・黒死牟としての生涯の中で最も幸せな瞬間だったのかもしれませんね。
それにしても黒死牟、強かったですよ。
正直、悲鳴嶼さんいなかったらどうしようもないくらい強さだけで詰んでしまう強さでした。
しかし勝ちましたね!!!!
何か勝てた。
玄弥の血鬼術無かったら絶対勝てませんでしたよね。
無一郎くんの赫刀も絶対必要でした。
悲鳴嶼さんがいなかったらまともな戦いにすらならなかったと思うし、
悲鳴嶼さんですら一人では厳しい戦いだったので実弥さんの存在は大きかったと思います。
全員一丸となって戦ったからこその勝利なのは言うまでもありませんが、
それでもこの戦いに関わった全ての鬼殺隊員に言いたい。
本当に、お疲れ様でした。
もうこの世にいない隊員もいるでしょう……。
これからすぐにそちらにいく隊員もいるかもしれません……。
この名前も記録も残らない戦いで、全てを懸けて戦ってくれた隊員たち……。
締めっぽい挨拶だこれ。
まだ無惨と鳴女がいるんですよね~。
もしかしたら変な有り合わせの上弦の伍も出てくるかもしれないし~。
次回はどうなるか。
- 炭治郎たち
- 蛇柱と恋柱
- 珠世さん愈史郎
- 善逸たち
- 産屋敷家
- 禰豆子
ま、この中からふたつは描写されることでしょう。
……。
我が事ながら予想の雑さに呆れます……。
完全に強敵との戦いが終わって気が抜けている……。
次回は休憩だとでも思っているかのようです……。
無限城編の展開の速さを考えると次回から無惨戦が始まってもおかしくもなんともないんだけどなあ……。
でもね……そろそろ同期組のちょっとユーモラスなとこが見たいんですよ……。
あっだめだ、「上弦の壱撃破ァァ!霞柱・無一郎、玄弥死亡ォォォ!!」みたいなの飛んできたら一気にダメだ。
「俺は信じない」
今週の重さ、何というか情報量の多さとかでなく、激闘の中の激闘、圧倒的な強敵を撃破したものの、得られたものが哀しい兄弟の確執だけだった徒労感というか、犠牲の大きさを冷静に振り返ってしまうワンクッションというか、なんか緩急がついてて上手く心が空っぽにされました。
猗窩座の時の思いっきり頭まで回想に浸かるくらいに入り込めたら黒死牟にも同情とかできたのかな……。
黒死牟はチラリチラリと生い立ちが垣間見える程度だったので人だったころのことはあまり考えずあくまで鬼という立場の敵として読んでいました。
味方側的な立ち位置の縁壱さんがいたからかな?
それとも黒死牟が人間時代と鬼時代であんまり変わって無さそうだったから?
うーん。
でも、魅力がない訳ではなく、トンガリは結構嫌いではないです、黒死牟。
もうちょい書いてあげてもいいんじゃないですかね。
例えば外伝とかでこの継国巌勝が特別だと思った自分達の世代とやらを描いてみては。
その外伝を読んだ後に改めてこの戦いを読み返したら半端ではないぶり返しがきそう……。
縁壱さん出さなくても話が回るくらい個性的な剣士たちたくさん出てきそう。
幼年期の縁壱さんがどことなく無一郎くんに似てた。
継国一族は双子の弟が強いみたいな傾向があるんだろうか。
この時代だと双子って縁起が悪いとかで養子に出されたりしていそうですよね。
もしかしたら一度二人は引き裂かれていて空白の期間があり、
なんやかんやで再び巡り合った時に圧倒的な差が生まれていたとか……。
なんかいくらでも話が膨らませられそうな。
鬼滅の刃って本当に到るところに良い素材というか高級食材が盛り込まれてて「これをカレーに使うとはなんて贅沢な!」みたいな容赦のない展開の速さありますよね。
もうちょっとひとつひとつの食材で料理作って出してくれてもいいよみたいな。
伝わりますか?
またぶちぶちと書いている……。
玄弥と実弥さんもうちょい連携とか会話とか見たかった……。
どうなる……。
なんで悲鳴嶼さんに「命を決して無駄にするな!」なんて言わせたんだ……。
トンガリは鴉が鳴くまで信じない……。
鴉といえば無一郎くん大好きなあの鴉。
死んでしまうぞ!!!!!
次回はお願いだから、ほんの少しでいい……小休止させてください!!!!
それではまた次回!!!
キメツーーーーー!!!!!