出典:吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第155話
週刊少年ジャンプ2019年21号
みなさんおはこんばんにちは!!!!
トンガリです!!
猗窩座の過去回想後編です。
思ったよりもしんどかったです。
話が……重い……。
1ページ目の「病で苦しむ人間は何故いつも謝るのか」ってセリフが既に凄く重い。
でも確かにそう思います。
一番辛く苦しんでいるのは病に苦しむその人なのに、何とももやもやする話です。
好きで病気になる人はいません。
病気になってでもやめたいこと避けたいことがある人も、置かれている環境が健全とは言い難い状況になっているとも考えられます。
とにかく前回の話で語られた父の件もあり、そういったもやもやしたものに誰よりも憤りを感じていた狛治は誰よりも本来あるべき物事の道理が見えていたんじゃないかと思うトンガリでした。
恋雪ちゃんも狛治に看病されている間、謝ってばかり。
そんな恋雪ちゃんを文句のひとつも言わず面倒見る狛治。
「看病で唯一面倒だと思ったのは、会話の途中で恋雪がやたらめそめそ泣くことだった」
唯一ですよ唯一。
今回の話を読んで一番感じたのは狛治(猗窩座)の本来の性格。
物凄く合理的で落ち着いていて、素直な面を見ることができました。
今までの戦闘狂イメージだけだった猗窩座とはどうにも繋がりません。
狛治を見ていると本当に人のためになること、人を守ることが向いているというか、慶蔵さんが言っている通り、「守るものが無いと駄目」というタイプだったのでしょうか。
守るべきものがいて、諍いの起きない方法で守れるのであればこんなにも落ち着くものなんですね。
慶蔵さんが「狛犬の狛かあ」と言った時、ハクジのことを「コマジ」と変換しているトンガリはドキッとしました。
ちゃんと辞書登録しなくては。
慶蔵さんも「お前はやっぱり俺と同じだな」と言っています。
素流武術を編み出したのも人を守るためだろうと思いますが……。
どれくらいの強さだったんだろう。やっぱり気になる。
この人はこの人で「至高の領域」にたどり着いてたのかな。
老人が山賊に襲われていたのを助けて、その老人から土地と道場を継いだ慶蔵さんはその土地を自分たちのものにしたかった隣接した剣術道場に嫌がらせをされていました。
そのせいで素流道場には門下生が増えませんでした。
しかし素流道場での稽古と恋雪ちゃんの看病で狛治の心は救われました。
月日が流れるのは速いもので三年後、狛治十八歳。
十六になった恋雪ちゃんは殆ど臥せることもなくなり普通に暮らせるようになっており、二人は結ばれ幸せに暮らしましたとさ。
恋雪ちゃんと狛治の表情の変化、息を呑むような初々しい距離感。
鬼滅の刃短編集「もうひとつの結末」の中でも文句無しの名作ですよこれは。
しかしそうはいかないのが鬼滅の刃。
もうほんとに過去回想となると不穏で不運で不幸なことにしかなりません。
「日も暮れる前には道場に戻ったのに」
「聞く前から吐きそうだった横隔膜が痙攣して」
「嫌な予感に鳥肌が立っていた」
「俺は大事な人間が危機に見舞われている時、いつも傍にいない」
「約束したのに」
慶蔵さん、恋雪ちゃん。
二人の命を奪ったのはまさかの「人間」。
隣接する剣術道場の人間が、土地が欲しいというたったそれだけのちっぽけな理由で二人の命を……。
惨い……。
読んでいて変な声が出ました……。
余りにも猗窩座と狛治が繋がらないので、本当にただの好青年と可愛らしい娘さんとの幸せになる物語に思えて……。
恋雪ちゃんは子供の頃に狛治に言われた「来年も再来年も花火は上がるからその時行けばいいですよ」という言葉に救われていました。
と言うのも、いつも床に臥せっていた恋雪ちゃんは何年も先に自分が生きている未来を想像できなかったから。
母も同じで、娘が死ぬところを見たくなくて自殺した、父も心のどこかで諦めているのがわかっていた、と。
「だけど狛治さんには私の未来が見えていた、当たり前のことのように」
「来年再来年の話をしてくれたんです本当に嬉しかった」
この場面の二人のやりとりが余りにも美し過ぎてトンガリは死にました。
狛治の約束、これはもちろん命を賭けてでも守り通すつもりで放った本当に本気の言葉でしょう。
そして普通に暮らせるようになるまでになった恋雪ちゃんの懸命な頑張り。
父ですら諦めていた「か細い命」。
しかし狛治との出逢い、狛治との生活の中で生きたいという意欲と生き抜くという意志をより一層強くしたのでしょう。
狛治も「罪人の入れ墨が入っている自分の未来なんてうまく想像ができなかった」と考えていたのがまた色んなことを感じさせます。
自分の未来はうまく想像できなかったのに、同じく未来のことを想像できない人の未来は当たり前のように見ることができた。
そしてそのことが「誰かに好かれる未来」という何よりも想像できなかった未来に繋がった。
これもうほんとにどうしようもないほど胸が苦しくなります……。
吾峠先生の感情の機微を描く能力はどんな分野でも輝くものがあると確信できる名エピソードではないかと思います……。
でも全部悲劇に繋がるからこんな風に感じるのかもしれませんけどね!
こればかりは分かりません!!
でもでもこんなに読者の感情を揺さぶることができるのであれば作家としてはとびっきりの才能ですよね!!?
という訳でここからは奉行所に残された狛治による惨殺事件の記録です!
いや記録廃棄されてるんかーい。
残されているとは一体。
もはや漫画が違う程の惨劇。
これはまだ人の手によるものです。
この強さ……素流道場がその辺の鬼に襲撃されても普通に撃退してましたよね……?
鬼から町を守った素流の二人が鬼殺隊に入り、日輪メリケンサックで鬼の頭を破壊しまくる未来……。
狛治の悲劇と1ミリも関係の無かった鬼舞辻無惨の登場です。
なんにも関係無いのにこの偉そうな感じときたら。
しかしさすがにこの強さの狛治ですらも、一息で間合いを詰めて瞬殺。
今の所、鬼舞辻無惨は普通に戦っても強い!という印象がないんですがやはり強いんでしょうね。
そりゃ(おそらく)呼吸も使えない素手の武術家ならば一瞬でも苦戦したらまずいか……。
あと無惨様って意外と人の噂で動くんですね。
偉そうにしてますけど「夜の内に」と走ってきたんですよね。
配置した覚えの無い場所での鬼騒ぎを聞いて、もしや文献にあった鬼以外の人外生物か!?とか考えがあった可能性も否めない。
鬼が居るなら天狗や河童がいても不思議ではないですからね。
この時代だと人魚なんかもか。
地味にこういった超生物に関してもアンテナ張っていたかもしれませんね。
そしてまさかの猗窩座最古参説が誕生してしまいました。
この時代は無惨が始まりの剣士に襲われた前なのか後なのか……。
後だとしたらまた無惨は臆病者と言われてしまいます。
「鬼になって記憶を無くしまた俺は強さを求めた」
「守りたかったものはもう何一つ残っていないというのに」
「家族を失った世界で生きていたかったわけでもないくせに」
「百年以上無意味な殺戮を繰り返し」
「何ともまあ惨めで、滑稽で、つまらない話だ」
本当につまらない話だよ!!!!(号泣)
これは猗窩座死ななくてもいいんじゃ……と本気で考えてしまいましたよ!!
ずるい話です……後からこんな回想して……。
あと今回に限っては無惨があんまり悪くない……。
今まで全ての諸悪の根源が鬼舞辻無惨に収束していたのに今回は人間……。
猗窩座が過去に暴力をふるっていた人間の復讐とかでもなく、ただの隣人……。
こうなると猗窩座は本当にもう何もないじゃあないですか……。
つらい。
という訳で猗窩座の回想が終わりましたが。
猗窩座は仲間になってほしいと思っていましたが、猗窩座はこのままあっちに行って、地獄に付き合ってくれる恋雪ちゃんと共に地獄での罰に耐え、生まれ変わってまた恋雪ちゃんと結ばれて欲しいと思います。
それしか感想ないですってくらいトンガリは狛治と恋雪ちゃん夫婦にグッときました。
あ! もしかしてそうやって生まれ変わった世界がキメツ学園!?!?
キメツ学園で中身狛治に戻った猗窩座見たい!!!!!!!
しかし慶蔵さんは炭治郎に似ていたけど特に始まりの剣士とかとは関係なく、
恋雪ちゃんは瞳が花だったりしたけど特に触れられることはなく、
今回の過去回想はかなりの完成度の高さで完結していましたね。
猗窩座の技名とか見た目とかが花火っぽくてまた涙がこみ上げてきたり……。
猗窩座嫌いじゃないです……。
記憶なくなってたって言うし情状酌量の余地が……。
ううう……。
どうなることやら……次回……。